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今年6月に成立した改正景品表示法(以下、改正法)では、不当表示を未然に防止するため、事業者は表示の管理を行う体制を整備することが義務づけられた。消費者庁は8月8日、この新たな規定に関する指針案を公表。パブリックコメントの募集を始めている。新たな規定が盛り込まれたことで表示の管理義務を怠ったことが露見した場合、行政指導を行い、最終的に社名公表も可能になる。事業者はコンプライアンス向上に向けた体制の整備を迫られることになる。

改正法には、社内体制を整備など、不当表示を防止するために必要な取り組みを求める規定が新たに盛り込まれた(第7条)。管理義務を怠った場合は、消費者庁による「助言・指導」「勧告」(いずれも行政指導)というステップが踏み、「勧告」に従わない場合は社名公表も行われる。

 指針は、景表法改正のきっかけともなった食品の表示偽装問題を念頭に策定されている。ただ、その取り組みは食品に限ったものではない。事業者が行うべき取り組みを「景品表示法の周知・啓発」「法令遵守の方針の明確化」「表示に関する情報の確認」「表示に関する情報の共有」「表示を管理するための担当者等を定めること」「表示の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置をとること」「不当な表示が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応」の7項目に分類。具体的な事例も示した。

 例えば、景表法の周知・啓発に向けた取り組みでは、社内研修を行い、景表法に対する従業員の理解を深めることを求める。対象となる従業員は、表示内容を決定する者だけでなく、決定した表示に基づき商品説明やセールストークを行う者も含まれる。

 また、事業者は表示を適正に管理するため、「表示等管理担当者(以下、担当者)」を定める必要がある。担当者は、自社の表示に対する監視・監督権限を持ち、景表法の研修会などに参加して一定の知識習得に努めることが必要。商品カテゴリなどによって担当者が複数存在する場合は、それぞれの権限や所掌を明確にしておく必要がある。

 これらは、あくまで具体的な取り組みを例示したもの。事業者の規模によって取り組みのレベルも異なることが想定される。また、示された事例は、いずれも程度の差こそあれ、これまで事業者が自主的に行ってきたものでもある。

 ただ、明文化されたことで、法律の建てつけ上、これまで運用されてきた不当表示に対する措置命令とは別に、第7条に基づく行政指導が行えるようになる。

 これまで、景表法違反を巡る処分事案では、「仕入れ先から提供された資料が適切ではなかった」「景表法に習熟した担当者がいなかった」といった説明をする事業者が少なくなかった。処分を受けた後の対応も再発防止に向けた表示管理部署の設置や社内研修の実施など慣例化していた面があった。

 だが、第7条の規定は、事業者に"事前"の取り組みを求めるもの。今後、コンプライアンス体制の面からも監視が進むことになる。

 消費者庁では9月16日まで指針案のパブリックコメントを募集。パブコメを受けて指針を成案とし、改正法は今年12月1日に施行する。


http://www.tsuhanshinbun.com/archive/2014/08/post-1934.html