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ケンコーコムは8月1日、インターネットを活用した処方せん薬の受け取り支援サービス「ヨヤクスリ」の専用サイトをリニューアルした。今年2月のスタート以降、薬局側に同サービスへの理解・協力を得る取り組みを行ってきたが、今回のサイトリニューアルでは会員顧客の利便性を高める機能を追加、サービスの利用拡大につなげる。薬局側からの広告収入を収益基盤とする事業モデルの確立に向け、次のステージに入る。

 「ヨヤクスリ」は、専用サイトを通じて顧客がスマートフォンやデジタルカメラで撮影した処方せんの画像を薬局に送信し、店頭で処方せん薬を受け取ることができる会員制のサービス。会員はサイトの検索機能を使い、自分の都合に合った薬局が選べ、薬局側がFAXで届けられた処方せんをもとに受け取り希望時間までに薬を用意することで調剤の待ち時間を解消できることなどがメリットだ。

 サービスについては、会員および薬局とも無料で提供。ケンコーコムとしては、薬局に関する会員のくちコミや医薬品関連情報などの付加でサイト来訪者を増やし、集客ツールとして薬局側から広告収入を得る事業モデルを構想する。

 今年2月からの展開では、全国で5万店以上ある調剤薬局のうち、事前に告知を行った首都圏の約1万店を対象にサービスを開始。まず、薬局にサービスに協力してもらうことに注力し、現在では、全国約3万8000の薬局が処方せん受け取り予約サービスに対応する。初めて受け取り予約が入った薬局に対し、同社から対応要請の連絡を入れるなどの取り組みを行っているが、薬局側も無償で集客ができることなどから、「断られたことは1度もない」(ケンコーコム)という。

 また、受け取り予約サービスの利用件数については、まだ少ないため実数を公表していないが、受け取り薬局では行きつけの店舗を指定するケースが多いほか、サイト上で店舗情報を掲載する薬局が利用される傾向があるという。

 8月1日のサイトリニューアルでは、従来の処方せん薬受け取り予約および薬局検索に加え、受け取り予約をした医薬品をデジタルデータ化しスマホなどで履歴を管理できる「おくすり手帳」と、約1万5000の医薬品情報を照会できる「おくすり辞典」、サービスを利用した顧客の相談にケンコーコムの薬剤師が電話で対応する「おくすり相談」を追加。会員の利便性を高める機能の追加を機に、消費者向けのサービス告知を強化し、利用の拡大を図る考えだ。

 サービス対応薬局の基盤がある程度整ったことを受け、顧客の利用促進という次のステージに入った「ヨヤクスリ」だが、その先にある広告事業については、すでにサイト上で展開している「オススメ薬局」機能を活用することを考えている。

 これは、店舗画像や営業時間などの情報を提供してもらった薬局を集めたコンテンツ(情報掲載は無料)で、会員からのくちコミ情報も掲載。すでに約3000薬局を紹介しているが、同コンテンツで店舗画像を掲載する薬局が利用されるなど集客効果も出ている。

 ケンコーコムでは今後、「オススメ薬局」の掲載薬局の拡大を進め、国内全薬局の3割程度(約1万6000店)にした上で広告事業に着手する考え。その際には、トップページ下方に配置している同コンテンツをサイト上部に置いて訴求をするほか、顧客のいる場所に近い"オススメ薬局"を表示できるようにすることなどを構想する。

 処方せん薬の受け取り予約サービスについては、すでにチェーンドラッグストアや通信系の事業者が行っているケースがある。これに対しケンコーコムでは、豊富な機能と会員のくちコミ情報などで独自性を打ち出しサービスの利用を拡大。メディアとしての「ヨヤクスリ」専用サイトの価値を高め、広告収入事業の確立を目指す構えだ。

http://www.tsuhanshinbun.com/archive/2014/08/post-1936.html